ペダルからの異音・振動について

ペダル近辺からのきしみやカタ付きに関するお問合わせが多く寄せられます。

自転車と乗り手の接点はハンドル、サドル、ペダルの3ヶ所のみなので自転車の異常は
この部分を通じて乗り手に伝わり、特に車体の端部に位置し、力もかかるペダルには異常が増幅して伝わることが多いようです。

自転車は多くの部品で構成させるため、個々の部品は正常でも組付け状態によっては
異音・振動を感じることがあり、原因を即座に特定するのは困難です。

ペダル近辺に不具合を感じた時は、ペダル以外に下記の各部位も点検・確認をしてみて下さい。
また異音・振動を感じた場合は、お買い求めの自転車ショップに点検をご依頼願います。

①ペダルとクランクのゆるみ
②クランクとボトムブラケット(以下、BB)のゆるみ
③BBとフレームのゆるみ
④クランクとチェーンリングのゆるみ
⑤サドル部のゆるみ
⑥ペダル近辺以外の不具合
⑦その他

①ペダルとクランクのゆるみ

※ほとんどの事例がこの原因となっております。よくお確かめください。

ペダル単体はなめらかに回るのに、乗車の際にカタ付きが感じられる場合はペダル軸がクランクに適切に締付けられているかをご確認下さい。

クランクをしっかり押さえ、ペダルを前後上下左右にゆすってみて下さい。
軸ごとペダルにぐらつきを感じる場合はペダル軸がゆるんでいます。
手でゆるみを感じなくとも、かすかなゆるみがあることもあるので、推奨トルクで増締めして下さい。

右ペダルは自転車に向かって時計まわりに、左ペダルは反時計まわりに締付けて下さい。
弊社のペダルの多くは、六角レンチ(アーレンキー)で取付けもできますが、
締付けトルクの掛けやすさなどの点から、15mmペダルスパナのご使用を推奨しております。

ペダル取付けの際は、ネジ部の異物や汚れをふき取り、固着やきしみの発生を防ぐために
ネジ山にグリスを薄く塗布し、30~35N・mのトルクで締付けて下さい。
ここのゆるみを放置したまま使い続けるとアルミ製クランクの場合ペダル取付穴のネジ部が変形し、
増締めしてもきしみが収まらないなど修復不能となる場合があるのでご注意下さい。

②クランクとボトムブラケット(以下、BB)のゆるみ

車体フレームをしっかり押さえ、クランクアームを自転車の左右方向へ押引きしてみて下さい。
また、左右のクランクアームを同時に押し下げたり、押し上げたりしてみて下さい。
いずれの場合も、ガタやきしみ音を感じる場合はクランクとBBの組付けがゆるんでいる可能性があるので、
自転車ショップに依頼なさるか、お使いのクランクの専用工具で締付けてください。

なお、ペダルやBB内の回転部品には潤滑剤として粘り気のあるグリスが用いられています。
きしみが生じた際に粘り気のないスプレーオイルなどを吹き付けるとグリスを溶解・流出させるので、
一時的にきしみが収まっても回転部品の摩耗を速め、部品の寿命を縮めてしまいます。
上記部品にはスプレーオイル等は使用しないで下さい。

③BBとフレームのゆるみ

上記同様、片側のクランクアームを押引きした際に反対側のクランクアームが連動して
カタついた場合はBBがゆるんでいると考えられますので、増締めを行って下さい。
また、その際にはBBの軸受部にも異常が無いか確認して下さい。

④クランクとチェーンリングのゆるみ

クランクアームとチェーンリングを組み付けるボルト類のゆるみが周期的な異音・振動として感じられることもあります。
また、チェーンリングの歪みによりフロントディレーラーとチェーンリング/チェーンが走行中に接触すると周期的なかすれ音が発生します。

⑤サドル部のゆるみ

サドルとシートピラー、シートピラーとフレームの取付部にゆるみがある場合も、踏込み毎にきしみ音が生ずることがあります。
立ちこぎ等サドルに触れない状態で踏み込んだ時に異音が収まる場合は、上記取付部を点検して下さい。

⑥ペダル近辺以外の不具合

ペダル1回転につき、複数回の異音・振動を感じる場合は、車輪側の異常と思われます。
ブレーキシューの接触がチェーンを介してペダル上で感じられるなど、特に昨今のフレームは共鳴し易い素材・形状が増え、
ペダル近辺以外の異音等がペダル近辺で感じられることもあります。

⑦その他

折畳み車のジョイント部やMTB車のサスペンションの軸部等、締付ネジのゆるみや
又、ビンディングペダルの場合クリート取付ネジがゆるんでいたり、裾クリップや靴紐の
先端がクランク/ペダルに当るなど、意外な原因で異常を感じることもあります。

弊社では有償にてペダルの点検、部品交換、調整を承っております。
大変恐れ入りますが、お送りいただく送料はご負担いただきますようお願い申し上げます。

異音につきましては、お問い合わせいただくほとんどがペダル自体の問題ではなく、ペダルを正しく取付し直すことで解決した事例となっております。
今一度、ペダルの取付方法をお確かめいただくことをお願い申し上げます。